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こちらは、管理人まいむによる、ソウルイーター(ソウル×マカonly)二次創作テキストサイトです。 18禁もありますので、ご注意ください!
03 . May
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26 . May

アニメ第2期ED、「stlye」をイメージして書いた短編です。
舞台設定としては、38話。
ほのぼのソウル×マカです。







    最近、マカのやつは、クロナに付きっ切りだ。
クロナは、魔女メデューサを母に持ち、魔剣ラグナロクを体内に飼う、死武専のとんでもない新入生だ。
俺たちと戦ったこともある。俺の胸の傷も、クロナとラグナロクにつけられたもの・・・
いや、別にそれはもういいんだ。
そんなことよりも・・・マカが、クロナのことばかり構うのが、面白くなくて。
 
 
引っ込み思案で、未だに死武専に溶け込むどころか、まともに会話もできないクロナ。
マカが、そんなクロナのために言い出したのは、ピクニックだった。
「ピクニックだぁ?」
「そ、ピクニック! 暖かくなってきたしさ、みんなでお弁当持って、どこか行こうよ」
「どこかって・・・どこだよ」
「うーん、公園とか? ね、クロナ!」
マカが、自分の後ろに隠れているクロナを、首をひねって覗き込んだ。
クロナは、おどおどと目を泳がせる。
「ピィ~クニックだぁぁ? 行こうぜ行こうぜェ、弁当喰わせろ、弁当!」
そのクロナの背中から、ニョッキリとラグナロクが生えた。べろべろと舌を出しては、マカに小突かれる。
「汚いなぁ、ラグナロクは」
「んだとぉ、ブース! うめェ弁当作ってこなかったら、ただじゃおかねェぞ!」
「もー、う・る・さ・い!」
そこにやってきたのは、ブラック☆スターと椿のペアだ。
「よーお、俺様ヌキで、何盛り上がってんだよ?」
「おはようございます」
「おう、それがさ・・・」
俺は、クロナの頭上で引っ張り合いをするマカとラグナロクを横目に見ながら、ふたりに説明してやった。
「へぇ、いーんじゃねぇの? たまには気分転換も必要だしな! な、椿!」
ブラック☆スターが諸手を挙げて賛成すると、椿もニッコリと笑った。
「はい♪ 私もお弁当、作ります」
・・・ま、いっか。
マカは、うっかりクロナを突き飛ばして、平謝りをしながらも・・・楽しそうだ。
結局俺は、マカの笑顔には弱いんだよな。それが、クロナに向けられた笑顔でも。

 
学校が終わって、いつものように夕飯の買い物をして帰る俺とマカ。
いつもだったらカゴで済むところだが、明日の弁当の食材調達のために、カートを俺が押して歩いた。
「どうせ椿も作ってくるんだろ、お前ひとりでそんなに作らなくたって、足りるって」
ずんずんと食材売り場を歩くマカを追いかける。
「うん。でもさ、足りなかったりしたらやっぱり寂しいじゃん。ブラック☆スターは大飯喰らいだし、ラグナロクもかなり食べるし」
「・・・あー。あいつらは、腹に入りゃ何でもいいんだろ」
確かに、やつらはかなり食う。
ウチでの食事に呼ぶこともあるけど、手の込んだ料理を出すのがもったいないような食べっぷりだからな。
マカが、カートに食材をポイポイ放り込んでいく。
卵、ブロッコリー、鶏肉、パン・・・マカのレパートリーから考えると、卵焼き、ブロッコリーのマヨサラダ、鶏の唐揚げ、サンドイッチってとこか?
「えーと、あとは、何作ろうかな」
立ち止まったマカに、俺は言った。
「なぁ、マカ。あれ作ってくれよ。トマトソースでさ、豆と、ひき肉入ってるヤツ」
二つに結んだ髪を揺らして、マカがきょとんと振り返る。
「え、チリビーンズのこと?」
「ああ、それそれ」
俺はうなずいた。
時々、マカが食事当番のときに作るチリビーンズ。あれ、割と気に入ってて。
時々っていうか・・・マカが、読みたい本があるときに、作るんだよな。
材料を刻んで、ナベに放り込んで煮込む料理だから、本読みながらでも作れる。
チリビーンズのいい匂いにつられて俺がそっとキッチンを覗くと、いつもナベの前で立ったまま、本に没頭してるんだ。そう。マカは気づいてないだろうけど。
思い出し笑いを浮かべそうになる俺に、マカはそっけなく言った。
「でも、あれってお弁当には向かないじゃない」
「あァ・・・そっか、そうだよな。じゃ、また今度」
俺は、肩越しにひらひらと手を振って、マカを置いて歩き出した。マカが、追いかけてくる。
・・・しばらくしてふと見ると、カートの隅にひき肉のパックがさりげなく入れられていた。
 

   その日の夕飯を終えると、マカは早速弁当の準備のためにキッチンに籠もっちまって。
なんだか面白くない俺も、さっさと自分の部屋に引き上げて、音楽を聴いていた。
はぁぁ、とため息が漏れる。
なにかっつうと、クロナ、クロナだ。
さっき、買い物しながらふいに思いついた、リクエスト。
食いてェ、と思ったのは確かだけどさ。
それよりも、あの時間のかかる料理を、マカが作ってくれたら、という気持ちのほうが、でかかった。
本を読むためじゃなく。
クロナのためじゃなく。
俺の、リクエストに応えるために。
 
いつの間にか、眠っていたらしい。
気づくと、時計はAM5時。まだ窓の外は真っ暗だった。
耳に当てたままだったヘッドホンを外すと、隣のマカの部屋のドアが、開く気配がした。
なんだ? ・・・トイレか?
悪いとは思いつつも、耳を澄ます。
基本的に、俺は耳がいい。じっと聞いていると、マカは、どうやらトイレを通り過ぎて、キッチンへ向かったようだった。
・・・なんだ、水でも飲みに行ったのか。
俺は、寝なおすために、ベッドに入った。
しかし、しばらくしても、マカが戻ってくる気配がない。
寝ぼけて、キッチンで座り込んでるんじゃないだろうな?
心配になって覗きにいくと、マカは、パジャマの上からエプロンをつけて、キッチンに立っていた。
おいおい、まだ5時だぞ? そこまでヤル気だして、どうすんだよ。
ちぇっ、そんなにクロナが好きかよ。
マカは、らしくもなく、戸口から見守る俺の気配に気づかない。
手際よく、冷蔵庫から材料を出して、並べていく。
・・・ひき肉、ニンニク、トマト缶、たまねぎ・・・
おれは、まじまじとマカの後姿を見つめる。
おいおい、それって、チリビーンズの材料じゃん。こんな朝早くから、おまえ。
後ろから、抱きしめてやりたくなったのを・・・ぐっとガマンして。
鼻歌混じりにたまねぎを刻みはじめるマカの背中に、俺は心の中でささやいた。
サンキュ、マカ。
 

   翌朝、俺が支度を終えても、マカはまだキッチンから離れなかった。
 家中にチリビーンズのいい匂いが充満していて、俺はそわそわと落ち着かない。
 マカのやつ、味見とかさせてくんねェかな。
「おいマカ、早くしねーとおいてくぞ」
声をかけると、読書中のように真剣な表情でナベを覗き込んでいたマカは、ぶんっとレードルを振った。
「ちょっと、待ってよ。もう少しでできるんだから!」
その、冷たい声!
ちぇっ、つまんねェの。
俺は軽く舌打ちして、部屋に戻ったが・・・ブラック☆スターたちやクロナとの待ち合わせの時間が迫っても、マカの支度が終わる気配がない。
「おい、まだかよ? 待ち合わせしてんだろ?」
こういうときに急かすのはよくないって分かってるけど、俺はつい声をかけずにいられなくて。
「分かってるってば。そんなに心配なら、ソウル先行ってていいよ」
案の定、マカはムッとした声で言い放った。
と、なると、売り言葉に買い言葉になっちまうのが、俺たちのペアの悪いところで。
「そーかよ。じゃ、先行ってるからな」
俺は、そのまま言い捨てると、家を飛び出した。
 
 
外に出ると、午前の陽射しでも暑いくらいで。
その眩しい陽射しを、俺は苦行のように目を細めて受け止めた。
あーあ、またやっちまったな。
ほんとは、嬉しかったのに。
俺は、スニーカーをひきずるようにしながら、ぶらぶらと待ち合わせ場所まで歩く。
マカが、朝早く起きてまで、あれ作ってくれたの、嬉しかったのにな。
俺が食事当番のとき、よくマカはアレが食べたいだのコレが食べたいだの、リクエストする。
・・・ただのワガママ? そうかもしれない。
でも俺は、それに応えてやれるのを密かに誇りに思ってるんだよ。
喜んでくれる、マカの顔を見たくて。
そっか、考えてみりゃ、俺がマカにリクエストするのって、初めてだったかもな。
あいつ、夜中にそれに気づいたんだ、たぶん。
しょーがねェな、ここらへんで待っててやるか。
俺は、ベンチの前で立ち止まって、どさっと腰を下ろした。
 
たったったったっ・・・たっ・・・たっ・・・たっ・・・
軽い足音が近づいてきたかと思うと、ベンチに寝そべっていた俺の頭の上で、それが止まった。
「遅ェよ」
眩しい木漏れ日に顔をしかめながらも、半目を開ける。
「・・・ゴメン」
逆光でその表情はほとんど見えなかったけど、マカは俺の顔を覗き込むと、落ちかかった髪を押さえて微笑んだ。
正解だったな、ここで待ってて。
その笑顔には、さっき言い合いをしたときのキツさはまるで残っていなくて。陽射しよりも、眩しかった。
彼女は、そのまま、かがんで・・・
そして、俺の鼻の頭に軽く口付けた。
くすぐったいような、こっぱずかしいような気になって、俺は起き上がり、ぶっきらぼうに手を差し出す。
「ほら、それよこせよ。とっとと行くぞ」
「うん!」
ふたり並んで歩き出す。
隣に、柔らかいマカの体温を感じて。
「・・・で、うまくできたのかよ」
「・・・知ってたの?」
「分かるよ、ニオイで」
「そっか、そうだよね。ニンニクも使うし」
「それに・・・お前、さっき味見してきただろ」
「あ、ニンニク臭った?」
マカが、パッとこっちを向いてニカッと笑った。
「じゃなくて」
俺は立ち止まると、気持ちバスケットを持ち直した。
無造作に、マカの口元に唇を寄せて囁く。
「トマトソース、ついてる」
 
この忌々しい、クロナのためのバスケットがなけりゃな。
今ここで、抱きしめてたのに。
 
「旨いよ」
何が、だ?
舌先に残る、マカの甘い唇の感触か。トマトソースのスパイシーな辛味か。
 
きょとんとしたまま赤くなるマカの顔から目をそらし、俺は先に立って歩き出す。
 その俺の斜め後ろに、軽い足取りのマカがぴったりとくっついた。
 まるでスキップするコドモのように。
 その足音の奏でるリズムが心地よくて、俺も楽しくなってきた。
 ま、いっか。クロナがなんだっての。


 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 
あとがき

 マカ視点を書けばソウル視点も書きたくなるわたし。三人称で書ければそれが一番なんだろうけど。
 あ、そういえばクロナしゃべってない。
 個人的には、最後の「旨いよ」の部分が気に入ってます。
 マカサイドよりも長くなっちゃいましたが、あまり上手くまとまらなかったなぁ。
 
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はじめに
こちらは、管理人まいむのソウルイーター(ソウ×マカ)Onlyブログサイトです。

コミックスは3巻までしか持ってません。アニメは全話視聴完了。感想・二次創作テキストどちらもネタバレします。ご了承ください。

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プロフィール
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まいむ
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非公開
自己紹介:
本職はフォーチュンクエストの二次創作小説書きです。
副業でソウルイーター始めました。
デスシティの真ん中で愛を叫びたいくらい、ソウルとマカを愛してます。
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